第6章 好きな人。
「、わりーな?」
『うっ、、、お好きにどーぞ…』
真希さんは口の端をつり上げニヤリと笑うと、野薔薇ちゃん愛用のアイライナーを手に、私の目の前にしゃがみ込む。
「ま、あたしは優しーかんな?可愛いくしてやるよ。」
私がぎゅっと目を閉じたのを合図に、真希さんが顔の中心にスラスラと筆を走らせる…
く、くすぐったい、、‼︎
近くで誰かがブッと吹き出して笑っている。
「ククッヤバい、、超〜似合うじゃん‼︎」
「ネコ科の中で俺の次に可愛いーゾ。」
「あーっ!狗巻先輩、今写メ撮ったっしょ⁈」
「おっ、、おかかっ‼︎」
ーーーそう。私は今、罰ゲームを受けている。
ピザでお腹が満たされた私達は、悠仁君の提案でトランプをする事になった。
シンプルにババ抜き。
けど、ただやってもつまらないからという理由で、1位がビリの顔に落書きをするルールの元、始まり…
ーーーー案の定、私がビリになったわけで。。。
「、特別ルール追加な?今から10分間、語尾に"ニャン"つけろ。」
『えぇっ⁈何で特別ルール⁈』
真希さんに猫の鼻と髭を描かれ、間抜けな顔になった私は頬を膨らませ反抗する。
「あっ!じゃあ次にちゃんが負けた時は落書きじゃなくて語尾に"ニャン"を付けて話すにしたらいーんじゃない⁇」
「よし、決まりだな。」
『〜〜〜〜ッ‼︎絶対勝つからっ‼︎』
そして次に負けたのは悠仁君。
悠仁君は1位の恵君に眉毛を繋げられた上、鼻の下にはちょび髭を書かれ、あまりの酷い出来栄えに笑いを堪えるのが大変だった。
その後も犠牲者は増え、野薔薇ちゃんは瞼に目を書かれてるし、悠仁君に至っては、嘘がつけない性格が仇となり、2回連続で負けてしまった。