第6章 好きな人。
「そう…ゆっくり息を吸って?」
吸い込まれてしまうんじゃないかと思う程、綺麗で澄んだ碧。
優しく背中を摩られ、不思議と呼吸は整っていく…。
ーーーゆっくり深呼吸をし、私が落ち着いていくのを確認した先生は身体を離し、その場にしゃがみ込んだ。
『・・・・すいません、、何か意識したら思い出しちゃって、、、』
「いーよ。あんな事があったんだ、無理もない。
でも、やっぱり2人きりはキツいか。」
先生は何か思案するように手を顎に当てると、
「ーーーじゃあしばらくの間、一人でここを使うと良いよ。」
『・・・え?でも、、監視するよう言われてるんですよね?』
「まぁ、大丈夫でしょ?そこは僕が上手いこと誤魔化すさ。」
先生は私の頭にポンと手を置き、フッと笑った。
『・・・すいません、、、』
何だか申し訳なくてしゅん…と肩を落とし、下唇を噛む。
「そんな顔しないの。は悪くないでしょ?
ーーーそれに、もしが望むなら僕がいつでも上書きしてあげるよ?」
透き通った碧眼が妖艶にスッと細められる。
『・・・上書き、、?』
「そ、上書き。それが一番効果的だと思うけどね?
恐怖やトラウマも全部吹っ飛ぶ位、愛し合えば良いんだよ。」
爽やかな笑顔でとんでもなく恥ずかしい事を言う先生に、思わず顔が赤くなってしまう。
『あ、愛し合うって、、、』
真っ赤になった私を見て、先生はククッと笑うとサングラスを掛け、立ち上がった。
「照れてる姿もカワイーよ♡
あ、そうそう。明日にはの携帯用意するから。
今みたいに何かあったら大変だからね。」
過保護だなぁと思ったけど、今は先生に頼る他なかった。
『ありがとうございます…』
ん。と満足気に笑う先生。
結局、先生の計らいでその日からこの部屋は1人で使うことになった。