その力、分けて貰えませんか?【ワンピース】【ロー】
第1章 第一章 海賊に世話になる
「おい、そこの女!」
ふわふわしたキャスケット帽を被った男が、横たわっている私に乱暴に声をかける。
でも、私は中々目を開けられず、彼をイライラさせてしまったようだ。
怒鳴るような声色で、
「起きろ!」
と叫ばれた。
「ん…。ハッ!?」
私は体を起こし、驚いて周りを見渡す。
「チッ。…てめェその怪我はなんだ!!そもそもなんでこんな場所にいやがる!!」
「…ッ?!」
【こんな場所】というのは、ある島の町の、1番の大金持ちが火事になった、その焼け跡の事。
でも、そこには跡取りなどの若い娘はいないはずだったため、男が驚いて怒鳴っていたみたいだ。
私は男に恐怖を抱いて、手で顔を隠そうとした。
だが、そこで口を開いたのは_____
「キャプテン、そんな大声で怒鳴ったらビビっちまうじゃないですか…。」
帽子の男を【キャプテン】と呼んで慕っている様子の、penguinと書かれたこれまた帽子の男。
帽子の男___ぺんぎん男(今だけの仮名)は、「なぁ?」と私に相槌を求めたけれど、私はこんな状態で萎縮しているから返答はできない。
「…チッ。ッ、少し…船(うち)に来るか?」
そう帽子の男が少し申し訳なさそうに言うものだから、私は目をキラキラさせて頷いた。
帽子の男はかなり容姿端麗で、そんな彼の詫びるような表情はそう簡単に見れるものではないと思ったから。