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日の守護者【鬼滅の刃】

第10章 遊郭後編


夢を見た。

自分の家ではないどこかの道場。
そこにいるのは名前と、名前と同じような背格好の男。
額には炭治郎と同じ痣があり、同じ耳飾りをしていた。

不思議に思い、名前は口を開けようと思ったが声が出なかった。
すると男が名前に近づく。


「呼吸が違えどお前も同じところにたどり着く。必ず。極めろ、己の信じた道を」


そう言うと男は背を向けた。
名前は手を伸ばすが、その手は空を切った。


この方は……はじまりの呼吸の剣士。
言い伝えにあった剣士だ。
以前、珠世が言っていた、鬼舞辻を倒す寸前まで追い詰めた剣士だろう。

そうするといまこの剣士が向き合っているのは俺ではなく、俺の先祖なのか。
日の呼吸から天の呼吸を分けた時、この剣士と先祖が交わした記憶なのか。


剣士はそのまま道場を出て行く。
その姿を名前は姿が見えなくなるまで見つめていた。



ーー





再び名前が目を開けると、腹の傷に布を当て包帯で縛っている宇髄の嫁たちが目に入った。

「きゃーーー!!起きました!!起きましたよ天元様!!苗字さん起きたーー!!」

須磨が甲高い声で泣きはらした目を擦りながら叫ぶ。
横たわったままその横を見ると、宇髄が居た。
顔の半分は包帯で覆われており、腕も片方なかった。


「よぉ、お互いひでぇ有様だな。まあいいさ、上弦は死んだ」
『……皆は、大丈夫ですか』
「ああ、皆重症で今にも死にそうだが、誰一人欠けてねえ」


安心した。
上弦を倒した。
これは大きな進歩だ。


堕姫を斬る前、自分の体温が異常に高くなり、鼓動が速くなった。
毒が回っているはずなのに、腕の傷で動けるはずがないのに、動けた。

右の額には炭治郎と同じような痣が出来ていた。
それは戦っている最中よりは薄いが、消えずにそこにあった。


「その痣は竈門炭治郎と同じか?」
『……その様ですね』


夢で見た剣士と同じ文様。
自分に、その剣士と同じようなことができるだろうか。
上弦の陸でこの傷だ。
鬼舞辻を倒すとなれば、今よりももっと強くならなければいけない。




毒は抜けたが血を流しすぎたせいで頭がよく回っていない。
今は休もう。


名前はもう一度目を閉じた。
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