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日の守護者【鬼滅の刃】

第1章 序章


名前は産屋敷邸を後にすると、任務も無いため自宅へと足を向かわせていた。





東京からさほど遠くないある街の一角。
瓦屋根の立派な道場のある大きな家が名前の家だ。

玄関を開けると奥から女が顔を出し名前に挨拶をした。



「あら、お帰りなさいませ、名前さま」
『ただいま、サナエさん』



サナエと呼ばれた女は名前家の女中として働いている女だ。
名前が今帰ってくるとは思っていなかったのか、雑巾片手に掃除に精を出していた所だった。


『ご苦労様』
「すいません、今お茶を淹れますね」
『また後でいいよ、ありがとう』
「ではまた後で、お部屋にお持ちしますね」



名前はサナエに笑顔を向け靴を脱ぐと、その足で床の間のある一室へと入る。

十二畳程の畳の部屋に大きな仏壇があり、その前にある座布団に座った。


一呼吸置き、仏壇へと手を合わせる。




『ただいま帰りました』





帰宅の挨拶を済ませ、名前は目を伏せた。











苗字家は代々鬼狩りの家系であった。

生まれた子どもは鬼殺隊に入るために幼少期から剣士としての作法、戦い方を学ぶ。
名前も例に漏れず、物心が着いた頃には竹刀を握り剣術の腕を磨いていた。
父親は鬼殺隊で長年鬼狩りをし、水の呼吸の育手でもあった。
名前が水の呼吸を習得した頃、父親が名前を呼び話をした。





苗字家には代々伝えられている事がある。

それは極秘に取り扱われて、家の外へは絶対に漏らすと一族の破滅があると言われていた。



……日の呼吸。



すべての始まりの呼吸。


「名前、苗字家は、日の呼吸の後継者を探し、日の呼吸を護るためにある」



苗字家は日の呼吸が今にも受け継がれていると信じている。
僅かな情報の中に、日の呼吸の剣士は花札の耳飾りを代々受け継いでいるというものがある。
その剣士を見つけたら、力量を見極め、日の呼吸を護る。



そう、教えられてきた。







『見つけたかもしれません…父さん』






父親の位牌に向けて、名前は絞り出すように呟いた。
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