• テキストサイズ

日の守護者【鬼滅の刃】

第7章 無限列車


猗窩座の腕が太陽に当てられて塵になっていく。
それと共に、鳩尾から血が大量に滲み出てきた。

どう頑張っても、煉獄は助かりそうになかった。



『煉獄さん……』
「名前、そんな顔をするな。柱ならば後輩の盾になるのは当然だ。若い芽は摘ませない。」
『……っ、そうですね……』


声が震える。
刀を持つ手の力が抜けるのを感じる。





もっと早く加勢に入れていれば、煉獄は致命傷を負わなかったかもしれない。
もっと早く鴉の報告を聞いていたら。


「名前」


煉獄は優しい声色で名前を呼んだ。
そして今一度名前を見ると、すっきりとした顔で微笑んだ。


「竈門少年達を、鬼殺隊を……柱として、よろしく頼む」
『……はいッ』


それが名前と煉獄が最期に交わした言葉だった。



ーー



煉獄は笑顔のまま息絶えた。
名前は煉獄の体を横にした。

鳩尾の傷が痛々しいので、名前は自らの羽織を煉獄に掛けた。



『煉獄さん……』



目を開ける事のない煉獄の名前を呼ぶ事しかできない。
名前は悔しさで羽織を掛けた手に力が入っていた。




少し離れた所では、善逸が禰豆子の箱を背負いながら炭治郎達に何があったかを聞いていた。
皆、煉獄の死に悔しさを感じていた。



「俺、煉獄さんのようになれるかなぁ……」




炭治郎が小さく呟く。
名前もどう声をかければいいか分からないでいると、伊之助が叫ぶ。



「弱気なこと言ってんじゃねぇッ!!!」


伊之助が自分を奮い立たせるように言う。

伊之助も、炭治郎も、善逸も涙が止まることはなかった。




『お館様と柱に炎柱、煉獄杏寿郎の訃報の御報告を』


名前は肩に留まっていた鴉にそう告げると、鴉は静かに飛び立った。



少し経ち、隠と駅で待機していた隊員が合流し、事後処理を行った。
炭治郎達は怪我をしていたため、隠に背負われて帰って行った。


煉獄の亡骸もその後に運ばれていき、名前は誰もいなくなった線路を見ていた。



「天柱さま、怪我をしているようですが蝶屋敷に寄りますか?」
『いや、そのまま帰るよ』


心配そうに声をかけてきた隊士ににこやかに返すと、後のことを託して名前もその場を後にした。
/ 110ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp