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日の守護者【鬼滅の刃】

第11章 兆し


数日後、炭治郎が本格的に復帰に向けての訓練をすると言う事を聞いた。
名前は朝まで任務に出ていたため午前中は軽く仮眠を取り、昼過ぎに様子を伺いに蝶屋敷を訪れた。

道場に入ると既に炭治郎が三人娘と柔軟体操をしている所だった。


「名前さん!!」

炭治郎は名前の姿を見ると足を伸ばしたまま元気よく挨拶をする。


『順調そうだね』
「おかげさまで!でもやっぱり中々体力は戻らないですね」


そう言いながら、炭治郎はなほに手伝ってもらい背中を伸ばす。


『意識が戻って一週間でここまで回復すれば十分だよ』
「ありがとうございますっ!……あ、名前さん」


炭治郎が何か言いたげに名前を見た。


「その痣って」
『ああ、これ……』


戦いの中で出た炭治郎と同じ痣。
これは、間違いなく炭治郎の影響で出現した。


「夢を見たんです……俺だけど俺じゃないような人と、名前さんと似た剣士が居て……俺は」
『それは多分、無惨をあと一歩まで追い込んだ剣士だろう。俺の夢にも出てきた』


炭治郎は目を見開く。


『自分の先祖の記憶を辿るような感じだったな』
「そうですね、俺の夢もそんな感じでした」


痣が出た事により先祖の記憶を見たのだろうか。
それによって自分の限界を超える事ができた。


今はまだ、どうして同じような夢を見たのか、痣とどう繋がるのか分からない。
ただ言えるのは、この痣の力を使いこなさなければ無惨には勝てない。
上弦を倒した事により、他の上弦の動きも今までのようにはいかないだろう。

近いうちにまた上弦と戦う事になる。


「もっと、強くならないと……」


炭治郎の気持ちはよく分かる。
目の前で煉獄を亡くし、宇髄も第一線を退いた。
自分がもう少し強ければ、結果は変わっていたかもしれない。


そう思うと、悔しくてたまらないのだ。




二人は暫く無言で考えるように俯いていた。
近くで様子を見ていた蝶屋敷の三人娘は心配そうに二人を見た。


『……ああ、ごめんね、みんなの邪魔してしまって』
「いえ、大丈夫ですか?お茶を淹れましたけど……」

きよがおどおどとしながらも優しい言葉をかけてくれる。


『ありがとう、いただくよ』


名前はお茶の入った湯のみを受け取ると、その温かさに目を閉じた。
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