第12章 油断
『!違うっこれはっ!キヨがっ!』
はっとし、ようやく戻った意識がヤバいと警告する。
キ「…はぁ?俺?どういう事?」
なぞる指が止まり、私の顔を覗き込む。
『っ!何でもないっ!』
キ「何でも無い訳ないだろ!ちゃんと言えよ!」
『っ!だって、言えるわけないっ!』
キ「…ちゃんと言ってよ。言わないと分かんないじゃん…。」
私の顔を触り真っ直ぐ見つめられる。
何それズルいよ…
『っ、だってキヨ覚えてないしっ私だけ覚えててっあんな事されたの初めてだったしっ』
私は、いつの間にか泣いていた。
『キヨが首にキスしたんだよっ!いっぱい!』
キ「!」
俺はこの間の呑みの事を思い出す。
酔った勢で桜を襲った…?
ぽろぽろと泣く桜を抱き寄せて
キ「っ本当ごめんっ!俺最低だな…酔った勢で桜に辛い思いさせて…俺の事殴るなり貶すなりしていい。今も嫌だったら振り払って…」
『ぐずっ。私皆のこと嫌いじゃないし、キヨも嫌いじゃないよ…。一緒に居て楽しいし、こんなに人と一緒に居るのが楽しいんだって思えたの…でも…怖いのっ!』