第1章 素直になれば(宮侑)
香澄side
その日以来、わざと避けているのか、侑は私の前からいなくなったに等しいくらい見なくなった
それに加えて、サッカー部とバレー部のオフの関係や、
テストの関係でバレーをしている侑を見ることもなくなった
(これでよかったんだ、、)
と思いながらも、なぜかあの日の保健室を後にする苦しそうな侑が、頭から消えない
とはいえ、はじまってしまえば、テストも終わる。
そして、今日から部活もスタートする。
私は、日直の仕事を終わらせ、少し遅れて部活に向かおうと、
着替えのため更衣室に急いでいた
更衣室からグラウンドまでには、どうしてもバレー部の練習している横を通らないといけない
(走っていこうかな、、)
そんなことを考えながら、横を通ろうとすると
「香澄!」
と彼に呼び止められた
振り返るとそこには、私の好きなはずの人が立っていた
「治、、」
(侑じゃなくて、悲しんでるんなんでよ、、)
「おー、久しぶり、元気してたんか?」
「う、うん、」
と侑を視界にいれないよう、なるべく体育館の方を見ずに、治と超久しぶりに話をする
(そういえばいつのまにか、治のこと考えなくなってたな、、)
他愛もない話をしながら、こんなことを考えていると、、
ピーーー!
体育館からホイッスルの音が聞こえて
ハッ!と思わず顔を上げると、そこには
侑がバレーをしているところが見えた
その瞬間に、、私は気づいてしまった
(わたし、、侑の事好きなんだ、、)
「ふっ、、」
と治が吹き出した
「え??」
不思議な気持ちで、治を見ると、私の気持ちを見透かしたのか
「香澄、今日、俺、委員会でツムと帰られへんから
一緒に帰ったってや」
とニヤニヤしながら言われた
「え、、な、なん「頼むで」
私の言葉を遮り、じゃ!と手を挙げて練習に戻っていった