第6章 新しい恋(二口堅治)
二口side
めんどくさいな、と思いつつ、少しだけ楽しみな遠足のため学校に向かう
担任がバスの席は班ごとに座っていけ、とのことで葉月とか呼ばれるやつがぐーちーぱーで座るペアを決めるとか言っている
「なんでもいい」
(席なんか誰と乗っても同じだろ)
と思いつつ、適当にパーを出す
「二口くん!」
「おーよろしくー」
これまた適当に返事をして、バスに乗り込む
担任がなんか言ってるけど外を見て聞き流していると、バスが動き出した
(なんか、目線を感じる)
ふと窓にうつるとなりの菊川を見ると、じっと俺の方を見ている
「なんだよ」
窓の外を見ていた目線を菊川に移すと、少しびっくりしたあと
「い、いや、、なんか元気ないな~って」
という
「うっせ、ぶす」
誰がお前なんかに言うか、と思い、また外に目線を戻す
「また、、それ言う
私でよかったら、話聞くけど?」
(いや、別に隠す必要もねぇか、、いやでも言う必要もねえよな
いや、、、あーめんどくせ、このまま心配されるのも面倒だしいうか)
「フラれた」
「え、?」
「だから、フラれた」
ちらっと一瞬だけ目線を菊川に向け、すぐ外を見る
「そうなんだ、、」
そう言ったっきり黙っている菊川を見ると、眉間に皺を寄せ、目をつむり、、
「ぶっ、!お、おまえなんちゅう顔だよ!ぶっす、、!
俺が落ち込んでんのに、なんで菊川までそんな感じになるんだよ、!」
しばらく笑いが止まらず、下を向いてなんとか笑いを抑えようとしていると
「ちょっと、元気になった、?」
顔を覗き込んでくる
「う、うっせ、!」
と、思わぬドアップに驚いて、顔を窓のほうに向けた
すると
「変な二口くん」
と小さく笑って言う菊川
「じゃあ菊川は変な顔だな」
といつも通りの返しをする
「うるさいな~、遠回しにぶすって言ってるでしょそれ」
「え、お前、実は天才、?」
「お、おちょくって〜、、」
(なんか、だいぶこいつに元気付けてもらってんな、俺、)
心の中で小さく感謝して、残りのバスの時間を色々な話をして楽しんだ