第4章 甘い匂い(相澤消太)
相澤side
最初は驚いた様子だったが、ずっと黙ってついてくる彼女
とりあえず人がいない方へ、と向かった先は体育館そばの、桜が咲いている木のところ
「すまん、、、」
あの日のこと、今までのこと全部ひっくるめて、謝る
「え、、?」
彼女は突然のことで、さらに驚いている
「いや、、今までのこと全部、、」
「あ、、、いえ、私が突然あんなこと、言ったからです、、」
「違うんだ、俺がちゃんと菊川に向き合えなくて、、」
お互いの顔も見れず、ひたすらぼそぼそと話し続ける二人
再び訪れた沈黙に、彼女は耐えきれなかったのか、「ふふっ」と笑って
「じゃあ、、相澤せんぱいの第2ボタンください、!」
と笑顔で言った
「え、、?これ?」
制服についたボタンを指さす
「はいっ、、!」
少し泣きそうになりながら、笑顔を保った彼女からのお願いに
(まあボタンくらい、、、)
と思い、ブチ、と引きちぎって彼女に渡す
「え!?いいんですか、、!?」
と先ほどとは比べものにならないくらい驚いた顔で言う
「菊川がほしいって言ったんだろ」
なぜか恥ずかしくなってきて、耳が赤くなるのがわかる
すると
ボロボロボロっと大粒の涙が、彼女の目からあふれる
「せんぱい、、っ!、、ずっ、、ずっと好きです、、っ!、、」
うわ~~~!と大げさに泣く姿を見て、思わず笑ってしまった
「ふっ、、、そんな泣くなよ、、、」
そう言って、菊川の頭を、3回ぽんぽんする
(、、、おれも、、、)
そんな意味を込めて、、、
そして
「必ず、、迎えに来るから、、」
(プロヒーローになって、お前をずっと守れるでかい男になったら、、、必ず、、)
それだけ伝えて、俺は彼女の前から立ち去る
卒業証書を高くつきあげて、歩いていく
しばらく進んだ後、少しだけ後ろを振り返ってみると、彼女が顔を抑えながら泣いている
桜吹雪の中、小さく震えながら泣いている彼女のその姿は、、、
(とてもきれいだ、、、)