第18章 再会(宮治)
ドクン…ドクン…と2人の鼓動が重なって聞こえる
それは、落ち着いている声色に反して、飛び出そうなくらい激しい
どれくらいの時間が経ったのか、少し周りの音が聞こえた瞬間に
「っ!?!?」
我に返り、治を突き放す
彼の顔も驚きに満ちていたが、すぐに眉毛が下がり、困ったような悲しい顔になった
「あ、!ごめん!ちがくて…まわり…」
と言って見渡すと、別に誰も私たちを見てる人はいなかった
(よかった…)
周りは忙しそうに動いている人ばかりで、安心した
「それに、!私今仕事中で…」
とワタワタしながらいうと
「ほうやんな…すまん、思わず…」
悲しい顔で笑って謝る治
「あ、いや…!謝ることじゃないから…」
…
しばらく沈黙が流れ、口を開いたのは彼
「ちゃんと話したい…
時間作ってほしいんやけど、あかん?」
弱々しく大きい体がしょぼんと小さくなりながら言う治に、私は
「私も話したい…治のこと知りたい…」
と泣きそうになりながら返す
すると少し笑って
「よかった…ほな連絡先聞いてもええ?」
と携帯を出す
「…うん」
といって、私も携帯を出し連絡先を交換する
すると後ろから
「あ、宮さーん!そろそろ始めていいですかー?」
と大きい声で言うのは黒尾さん
(…ちょっとナイス…黒尾さん…)
と思いながら、
「じゃ、またあとで」
「うん、終わったら連絡するわ…」
と言い合い、とりあえずスペシャルマッチ開催に向けてお互いの道を進んだ
(…治…、相変わらずかっこいいな…、聞きたいこと沢山あるけど、もし新しい彼女とかできてたら、、、)
想像しただけで泣きそうになるのをこらえ
(あかんあかん、!切り替えな…)
ふぅ…、と呼吸を整えると震える携帯
「はい、菊川です」
『僕です、赤葦です。会場についたのでおにぎり宮で合致してもいいですか?』
そのワードにドキッとしながら
「わかりました」
と返事をして電話を終える
(がんばる…!!!)
仕事へと向かった