第18章 再会(宮治)
治side
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一足先に卒業した彼女のことを、忘れた日なんて1度もない
なんなら、気持ちは少しも薄れてない
今でもずっと彼女を思い続けてる
高校生の俺は弱かった、彼女を守るにはこれしかなかった
今も彼女が幸せに暮らしている事を祈っている
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「ふぅ…」
朝の仕込みを終え、今日もツヤツヤのお米を握る
♪〜
「はい、おにぎり宮です」
『あ、治くん、黒尾です。朝早くにごめんねー、今日はよろしくお願いします〜』
「あ、黒尾くんか〜、こちらこそよろしくな〜
たぶん、試合始まる1時間前には着けると思うから」
『ありがとうございます!あの大人気宮兄弟の片割れがだすおにぎり屋さんすごく楽しみにしてます
また何かあれば連絡ください』
「わかりました、ほなまたあとで」
『はいー』
(律儀な人やなー)
そんなことを考えながら最終仕込みをして、会場に向かう準備をする
…
車に乗りこみ、会場の受付で許可証をもらうと、黒尾さんが小さい女性と歩いてるのが目に入った
「え…?」
(香澄…?)
そこには見間違えるはずのない、思い続けてきた女性がいる
それに気づいた瞬間から
(うるさ…)
ドクン…ドクン…と心臓が騒ぎだし、生唾をごくんと飲んだ
「…ん、!…やさん、!宮さん!?」
「っ!あ、はい、!すんません!」
「車の場所とかおにぎり販売する場所案内しますね」
いつの間にか担当の人が来ており、次にそっちの方に目線を向けた時にはもう黒尾くんも香澄もいなかった
(落ち着け、、!!!落ち着け、俺、、)
ドキドキしすぎて痛みまで伴う胸を抑え、おにぎりを搬入した