第17章 名前も知らない彼(ホークス)
香澄side
「お疲れ様でした〜」
「菊川さん、今日もお疲れ様です〜」
ニコニコと可愛い受け付けの女の子に挨拶をして、外に出るとあまりの寒さに震える
(さむ、、)
あのあと、彼との連絡も途切れ、3ヶ月が経った
季節も変わって冬になったし、私は先月25歳になった
受け付けの子たちと2個くらいしか変わらないような気もするが、あんなにキラキラはできないと思いながら歩く
♪〜♪〜
(あ、理沙から電話だ、)
「もしもし」
「あ、もしもしー?今いける??」
「うん、大丈夫だよ
今帰ってるとこ」
この1週間くらいで急に気温が下がっている
「あのね〜、今週末にクリスマスパーティーするんだけど来ない?」
「あー、もうそんな時期かー」
周りを見ると、歩道の木々にイルミネーションが施されている
「あ、来るよねー?」
「あーうん、行く行く〜」
「オッケー!
香澄も参加っと、、あ、多分ねホークスも来ると思うよ〜!」
「ホークスが、?」
「そうそう、私も誘われた身なんだけど、幹事の子が知り合いで誘ったみたい!」
久しぶりに聞くその名前になぜか、心がキュ、と小さく音を立てた
「そうなんだ〜」
「あ、それでね!時間と場所はあとで送るね〜!」
「わかったー、ありがとう〜」
「じゃあね」とお互い言い合って、電話を切る
携帯を持っていた手が冷たくて、はぁ、と息を吹きかけた
もう一度周りを見ると、幸せそうに体を寄せ合う男女や、寒いのに生足で短いスカートの女子高生たちがイルミネーションに照らされてキラキラしている
まだまだ冷たい手を擦り合わせながら、先ほどの理沙との会話を思い出す
(がんばろ、あと2日、!)
久しぶりにホークスに会えるかもしれない、と思ったら、やる気が湧いてきて少し早歩きで帰った