第17章 名前も知らない彼(ホークス)
香澄side
「菊川さんおはようございます〜」
「おはようございます」
受け付けの子たちと挨拶を交わして、エレベーターのボタンを押す
ホークスは基本的に九州でヒーロー活動をしている
だから頻繁に会うわけではないし、彼がふらっと来たときに激しく抱かれるようになった
私たちが出会ったのは子供の頃で、ホークスが母親と一緒に保護されたのを聞いて、そのあと頭一個分ほど小さい彼と出会い、一緒にそのあと公安で訓練していた
私はヒーローとしては使えないと判断されて、結局そのあとヒーロー公安委員会の1人として働いている
ホークスの名前は、知らない
ヒーロー公安委員会の上の人間しか知らないとされているけど、実際のところ興味はないし、別にいいと思っている
「菊川」
「はい」
エレベーターが着いて、ドアが開くと同時に後ろから上司に呼び止められる
「このあと、第一会議室集合な」
「わかりました」
何か真剣な様子に大きな会議があることをなんとなく察する
一緒にエレベーターに乗り込み、他愛もない話をしながら、自分たちの部屋に分かれた
周りの同僚たちに挨拶しながら、自分のデスクに荷物を置いて必要なものを持って、会議室へと向かう
「香澄さん」
朝まで一緒にいた声が聞こえて、後ろを振り向くとそこにはホークスがいる
「名前、ここでは菊川でしょ」
「周りに誰もいないんで、呼びたくなりました」
爽やかに笑って、会議室へと入っていく彼
(ずるい男だわ、ほんとに、)
はぁ、と思わずため息をつきながら、後追いして会議室に入ると早速話が始まった