第15章 あと少し(黒尾鉄朗)
黒尾side
いつも通り仕事が終わって、空を見上げると大量の雨
(げー、最悪)
予報通りの雨に嫌気を感じつつも、ふと思った
(そういえば今日、元々会う日だったよな)
家で一人で落ち込んでるんじゃないか、と思い、彼女の最寄りで降りる
歩いて、彼女の家に向かっていると、いつもしゃべっていた公園に1人で立ちつくして雨に当たってる人がいる
(え、、もしかして、)
ちかづくとやっぱり彼女だった
「何してんだよ」
ゆっくりと振り向いて
「黒尾、、ほっといて、、」
「ほっとけるわけないでしょ」
(そんな真っ赤な目して、、
どんだけ泣いたんだよ
なにがあったんだよ、、)
「だから、っ!」
いつも可愛く笑って、ふざけてる菊川とは正反対の表情に、何故か俺も苦しくなって、彼女の細い腕を引っ張って抱きしめる
俺が持っていた傘が地面に落ちて、バタバタと雨の音を立てている
「、なっ、、なに、」
ちょっと身を捩り、離れようとする彼女の体をさらに強く抱き締めた
「ちょっと、黙れよ、?」
そういうと、ぎゅ、と抱き締め返してきて、肩が震え出した
「、っ、くっ、、ふぅ、、」
トントン、とリズム良く背中をさすりながら、落ち着くのを待つ
・・・
「、くろおも、、べちゃべちゃになっちゃった、、ごめん、」
「いやいいよ、これくらい」
しばらく泣きじゃくったあと、少し落ち着きを取り戻した様子の彼女
(理由は、、もちろん気になるけど、、)
「送ってくわ」
いずれ話してくれるだろうと思って、そばに落ちた傘を拾う
雨はだいぶおさまって、小雨になっていた
「くろお、、」
歩き出そうとする俺の裾を引っ張る彼女
「ん?どうした?」
後ろを振り向くと、彼女は俯いている
「抱いて、」
「は?」
彼女からの予想もしてなかった言葉に、衝撃を隠せない
「浮気されたの、、、
一人でいたくない、何も考えたくない、、お願い、、」
「それ、俺の気持ち知ってて言ってるんですか?」
「え、?」
俯く彼女の顔を、傘を持っていない方の手で掴み上へと向かせる