第14章 この愛が歪んだ呪いになる前に(夏油傑)
香澄side
あのあと4人で仲良くお祭りへときたんだけど、
(はぐれた、、、)
大人数の波にさらわれ、私だけがみんなと別々になってしまった
(悟あたりが六眼で見つけたりしてくれないかな、、)
ちら、とケータイを見ると先ほど傑と連絡を取って、『待ってて』というメッセージで止まっている
(遅いな~、、)
「ねえねえ、お嬢ちゃん一人?」
男の人が聞こえ、顔を上げるとニヤニヤしたチンピラが二人
「一人じゃない」
「えー、今は一人じゃん?」
「一緒にまつり回ろうよ、何でも買ってあげるから」
(しつこいなーーー)
「はあ、行くわけないでしょ、あっち行って」
こちらへと近づいてくる2人を、睨むと
「あ?女のくせになんだお前、」
と表情を変えて、こちらに手を伸ばしてくる
やば、と思って、伸びてきた腕の手首をつかみ、こちらへと引いて、バランスを崩したところを首の後ろを下へと押して、、
「うっ、、」
ドサ、と鈍い音を立てて、一人の男は地面に這いつくばる形になった
「しつこいんだけど、」
もう一人のほうをにらむと、横から笑い声が聞こえた
「ははははははは、香澄はやっぱり強いね
私が来る前に倒しちゃうんだから」
ニコニコとこちらを見ている傑
ニコニコしている、、はずなのに、私が動けなくなるほどの呪力を放っている
「す、ぐる」
「遅れてすまないね」
さらに歩みを進め、私の肩を抱いて引き寄せ、
「私の彼女に、何の用かな?」
相変わらずニコニコとしながら、凍るほどの低い声で二人組に問う
すると、一気に顔が青ざめて慌てだし、
「「すみませんでしたー!」」
と謝りながら逃げていった
「香澄、」
「は、はい!」
「ふふ、君は怖がらなくてもいいのに」
といつもの優しい傑に戻った
(よかった、、)
ふう、と安心して、彼のことを見上げると
「でも、、」
と言葉を続けて、私の耳に口を寄せる