第12章 夏祭り(瀬呂範太)
香澄side
ドォォォオオン、、ドォオン、ドドドォォォォオオオン、、、!!
次々とキレイな花火が上がっていく
「、、きれい、、、」
思わず口から出た言葉
横から視線を感じ、ふと横を見ると、せろくんもこちらを見ている
「、っ!」
目が合うと、微笑む彼
そのまま顔が近づいてきて、思わずギュッと目をつむると、気配が通り過ぎて耳元で囁く
「、、さっきの続きは、、帰ってから、ね?」
驚きのあまり、目を見開くと優しく微笑んでいる
きゅ、と胸が鳴って、下をうつむいて頷くと、せろくん側の手が温かく包まれる
(また、、手、、)
みんなは花火に夢中で、一番後ろに座る私たちのことなんて見てない
それがわかっていても、バレたらどうしようという小さな背徳感に、どうしようもなく喜んでいる私がいる
(最後だ、って、、決めてきたのに、、
揺らぐな、自分、、
好きなのは、、、私だけなんだから、、、)
自分で勝手に考えていることなのに、勝手に落ち込んでいる
最後だ、と感じて、また泣きそうになった
慌てて花火を見上げ、気を紛らわそうとするも、最後まで手のぬくもりが彼を忘れさせてはくれなかった
・・・
「花火、超キレーだったねー!!」
「ほんと!またみんなできたいねー!」
帰り道、寮までみんなで歩く
(ああ、、今日が終わってしまう、、、)
一人で勝手に切ない気持ちになりながら、せろくんや爆豪くんたちが楽しそうに話す後ろ姿を目に焼き付ける
「菊川、ちょっといいか」
「え、?」
後ろから私の名前を呼んだのは、轟くん
「話がある」とのことで、みんなから少しだけ離れて、轟くんの話を聞く
「轟くん、どうしたの、?」
「あーいや、なんか、上鳴に一瞬だけ菊川のこと誘ってくれって言われた」
「上鳴くん、??」
いきなりでてきた上鳴くんの名前に困惑する
結局、他愛もない話を少しだけして、みんなの元へと戻った
「あ、いたー!香澄と轟、どこ行ってたの~!」
「いや、なんかかみn「え!?轟ってそういうことだったのか!?」」
三奈ちゃんの質問に答えようとした轟くんの言葉を、上鳴くんが遮る