第12章 夏祭り(瀬呂範太)
香澄side
(手は、いつまでつながれたままなのだろうか、、)
ちら、と恋人つなぎされたままの手を見る
(ブルーシートを敷いた後も、まさかまた手をつなぐなんて思ってもなかった、、、)
「ねえ、せろくん?」
「ん?」
「あの、、手、、
みんな戻ってきちゃうよ、?」
人だかりができている通路のほうを振り向く
「そうだね」
せろくんの手が私の頬に触れて、せろくんのほうへと向かされる
ちゅ
「、ぇ、?」
聞こえたリップ音とドアップのせろくん
伏せられたせろくんの目が開いて、目が合って小さく笑うとまた閉じていくせろくんの瞼
その瞬間、私の唇に触れる熱い感触
「ん、」
キスされてる、と思い、慌てて目を閉じる
頬に添えられた手は、私の頭の後ろへと回って、ぐっと離れられないように抑える
「、ッ、ンん、、」
(みんなが戻ってきちゃう、、!)
そう思って、せろくんの胸板を押し返す
「はぁっ、、、せ、ろくん、?」
二人を包む熱いこの雰囲気に飲まれてはいけない、頭ではわかっていた
「今日の香澄、、一段とかわいすぎて我慢できなかった、」
「っ、」
ツツ、と耳から首筋へと、長い指がなぞっていく
(こ、これ以上は、!ほんとに、!)
キュ、と目を瞑ると
「おい、イチャついてんじゃねーぞ」
「そーだそーだ!」
と、後ろから爆豪くんと切島くんペアが戻ってきた
すると、首元にあった手を挙げて
「なにもしてません」
と真面目な顔で2人の方を見るせろくん
(た、助かったー!)
ふぅ、とひと息ついて、自分を落ち着かせる
「おまたせー!!」
とお茶子ちゃんとデクくん、飯田くん、轟くんたちも戻ってきて、そのあとも続々と戻ってきた
「もうそろそろだね~」
と響香ちゃんが空を見上げている
すると、ヒュー、、、、と聞こえ
ドォォォオオオオン、!!
と大きな花火が上がり始めた
「わぁ、、、」
目の前でにぎやかに話してたみんなも、その音につられて前を向いて花火を見上げる