第11章 文化祭(宮侑)
香澄side
侑に手を引かれ、連れてこられた空き教室
付き合う前の私たちのセの関係のときに、一度だけ使ったことがある教室
(なんか、、やだ、)
自分たちのことや、先ほどの元カノのことを思い、勝手に嫌な気持ちになる
「香澄、すまん、」
ぎゅ、と握る手に力が入る
「うん、、」
「俺、。話しかけるなとか言ってしもたけど、、そんなんおもてへんし、、
香澄かわええから、他の奴らにとられるかもって、思ってまうねん、。
でもひどいこと言ってほんまにごめん、」
そう言って、侑は肩をすぼめて落ち込んでいる
あの大きな体がなぜか小さく見え、私は少し笑ってしまいそうになった
「私も、、たくさんひどいこと言ってごめん、
私なんかより、侑はファンがおるくらいモテるから、すごく不安やねん、、」
「それは、今まで以上に、話さんようにする、
やから、、頼むから、、サムのところにはいかんとってほしいねん、、」
繋いでる手を引いて、私をぎゅ、と抱きしめる侑
(あ、、久しぶりの侑の匂い、、)
抱きしめられた瞬間に、久しぶりすぎる私を包む愛しい彼の匂いに、鼻の奥がツンとなった
「私、。治のとこ、いかへんよ、?
さっきも、、治に、治の気持ちにはこれからも応えられへんって伝えてた」
そういうと、侑は抱きしめていた体を離し、私と向き合う
「サムになんか言われたんか、?」
眉毛を下げ、少し目を潤ませて弱々しく話す侑
「うん、、この前、、相談したいことあるって言われたから駅まで一緒に行ったんやけど、、
その時に、、私が治に振り向くまで諦めんって、」
「っ、、少しでも、、あいつに揺らいだんか、?」
私は侑にぎゅ、と抱きつき、彼の顔を見上げる
「ううん、むしろ逆やったで、、揺らがんすぎて、、
私、侑のこと、むっちゃ好きなんやなって思った」
何だか照れ臭くなって、へへっと笑うと、さらに目をうるうるとさせて、きつく抱きしめられる
「く、、くるし、あつ、む」
先ほど小さく見えたのが嘘のように、大きい体が私のことを思い切り抱きしめてくる
「香澄、、ほんまに、、ずっとこうしたかった、、」