第11章 文化祭(宮侑)
宮侑side
(いや、!香澄の彼氏は俺や、!)
そう自分を奮い立たせ、しばらく見つめることしかできなかった体を動かし、彼女の腕をつかむ
「香澄、!」
「っ、侑、!」
「聞いてくれ」
「離して」
「聞けって、!」
「今は、何も聞きたくない、!」
「頼む、、、」
「っ、!」
手をつかんだまま、沈黙が続く
「だっさ、お前」
口を開いたのは、サムだった
「うっさい、、」
「香澄、この前も言うたやろ
ツムとちゃんと話し合いや」
「、うん、、」
サムからの言葉に、少し詰まる様子を見せるも素直に頷く彼女
「なんでサムのことは素直に聞くねん、、
お前腹立つ、、」
思わず、気持ちを口に出してしまうと
「うっさいわ、俺のおかげで香澄と一緒にいられるんやぞ、感謝しろや」
と呆れるサム
(ごもっともすぎて、さらに腹立つ、、)
「じゃ、俺クラス戻るわ、またな香澄」
「うん、、」
そう言って歩き出すサム
再度訪れる沈黙
「香澄、、すまんかった、、
ちょっと話し合おう、、」
「うん、、」
掴んでる手を、握りなおし、空き教室を探す
周りの賑やかな声とは真逆の俺たち
(さっき、サムがこの前も言ったやろ話し合えってって言ってたけど、、
香澄、サムに相談してたんか、??なにを、、?
もしかして、、別れ話、、!?)
空き教室がなかなか見つからず、よからぬ想像をしてしまう
「侑、、手、痛い、」
「あ、すまん、、」
いつのまにか握る手に力がこもっていたようだ
「あ、ここ空いてるわ」
ガラ、と空いている教室のドアを開け、香澄を中に入れるとドアを閉めて、窓側へと進む
「「…」」
手を握ったまま、何度目かの沈黙が2人を包む