第11章 文化祭(宮侑)
香澄side
「俺は、ちゃんと話し合ったほうがええと思うけどな」
「うん、、私も本当はわかってんねん、、」
私のために、一緒に駅まで来てくれる治
私のために、言葉を選んで一緒に帰って、話す時間を作ってくれる治
(こういうところ、めちゃくちゃ好きやってんけどな~)
ちら、と横を見ると、私の目線にすぐ気づいて
「ん?」
と優しくこちらを向く彼
「あのさ、、わたし、、、」
(治のこと、、好きやってん、、、)
あの時伝えられなかった思いが、あふれ出そうになるのを抑える
「香澄、俺の悩み、聞いてくれへん?」
「あ、そうやった、、治の悩みってなに?」
今日一緒に帰る目的を忘れてしまいそうになってしまっていた
治は、ふう、と一呼吸すると、こちらを見て
「最近、ずっと好きやった子が、彼氏とうまくいってへんみたいやねん」
という
「うん」
「俺、勇気出して、一緒に帰ろうって誘ったんやけど、、やっぱりその子は、俺のことなんか見てへんくて」
「うん、、」
「でも、、俺はあきらめきれる気もせんくて、、
おれ、どうしたらええんかなあ、、?」
困ったように笑う彼の、好きな子がすごくうらやましいとも思う
でも、、私はその子にはなりたいとはもう思わないし、やっぱり侑のことが好きなんやなあ、と改めて感じる
「治も、、好きな子に振り向いてもらえへんなんてあるんやなあ、、
私、治が好きな子が、ちょっとうらやましいわ、絶対幸せになれるやん」
「なに言うてんねん」
私の言葉に小さく笑う治
「治、諦めたらあかんと、私は思うで」
「ほんま?」
「うん、治なら、きっといつか好きになってもらえるよ
治のいいところ、私いっぱい知ってるから」