第11章 文化祭(宮侑)
香澄side
「いや、、、」
侑の怒ったときのことを思い出して、首を横に振る
そんな私を見て、治は少し考えると
「俺さ、今めっちゃ悩んでんねん」
という
私は、以前から何度も治に助けてもらったこともあり、
「、え、?そうなん?私でよければいつでもきくで?」
と何気なく言った
「ほんま?」
「ほんまほんま!治にはたくさん助けてもらったし、、」
「じゃあ、今日の帰り、話聞いてくれへん?」
「うん、ええよ?」
「さんきゅ、じゃ、またあとで来るわ」
「わかった!準備して待ってるわ!」
「おー」と言いながら、体育館へと戻っていく治
(治でも悩むことあるんやな~)
そんなことを思いながら、コップを洗っていた手元に意識を戻す
「…」
(ん、?なんかうまいことまとめられて、一緒に帰ることになった、、?)
ここでやっと治のやさしさと、器用さに気づく私
(侑に言ったほうがいいかな、、でも言ったら言ったでやんね、喧嘩ごと増やしたないし、今回は治の悩み事を聞いてたっていえば大丈夫やんね、、?)
自分で都合のいいように言い訳をして、侑に言わなくてもいいように言い聞かせる
「よし、」
すべて洗い終わって、かごに入れ直し部室へと片付けようと、持ち上げる
歩き始めると、いきなり横から手が伸びてコップなどが入ったマネージャーグッズのかごが奪われる
「え!?」
その手の正体を見ると、
「香澄、遅いねん」
と微笑んでいる治
「治、いいよ、自分で持てる」
「ええよ、持ってく」
そのまま歩き進める治に、置いてかれないよう追いかける
「ありがと、治」
「ん」
そのあと、部室にマネージャーグッズを片付けて、荷物を持って校門へと向かう
「最近、ツムとうまくいってへんのちゃう?」
「え?」
校門を出てすぐ、治は私のほうを見ながら、そう問いかける
「あいつもイライラしてること増えたし、香澄も落ち込んでることが多くなった気がする」
「、うん、、そうかも、、」
治が原因を知っているのか知らないのかは、おいといても二人の間の雰囲気がよくないことは確か、、