第10章 愛という名の呪い(五条悟)
香澄side
その日から、2週間が経った
携帯にも連絡はないし、彼が私に会いにくることもない
(やっぱり、、冗談だったんだ、)
それでもずっと期待をしてしまう自分が小さくいることに、少し苛立つ
(もう、やめよ、考えるの)
今日も仕事を終え、帰り道を1人寂しく歩く
再度、彼のことを思い始めたその瞬間
「香澄、遅れてごめん」
そう聞こえた彼の声
「え、?」
前を向くと、目隠しはしているが申し訳なさそうにしている彼
「俺しか祓えない呪いの大量発生とか、、超めんどくさい家のこととか、、色々してたらこんなに日にち空いちゃって、、」
悟はゆっくりこちらに歩み始める
「い、や、、そんな、忙しいの知ってるし、、」
久しぶりに見る彼にときめきが止まらない自分に驚く
(こんなの、もう認めるしかないじゃん、、)
私の2倍あるんじゃないかというくらいの長い脚が、俯いていた私の視界に映る
2人の距離は、もう50センチほどだろうか、、
しばらく沈黙が続いたあと、彼の手が伸びて私の手を取り、握る
「香澄、?顔、あげて?」
「、、っ、」
言われた通り顔を上げると、目隠しをとって私をまっすぐ見つめる
目が合うだけで、キュンとなる胸
私たちの周りを通っていく人たちが、悟の方を見てささやくのが横目に見える
「香澄、、僕、すごく嫉妬しちゃうし、家柄的にもちょっとめんどくさいんだけど、、
それでも、香澄のことを僕のものにしたいって思ったんだよね
だから、僕と付き合おう?」
照れ臭そうに笑う悟
(あぁ、私が待ってた言葉を、、)
私も彼に紡ぎたい言葉があるのに、涙が出てきて言葉が発せられない
「、っ、!、、ぅ、、」
「それは、嬉し涙ってことで合ってる、??」
悟は手は握ったまま、もう片方の手で私の目から溢れる涙を拭ってくれる
私は精一杯頷いて、自分の気持ちが少しでも伝われ、と思う
すると、
「ごめん、もう限界、帰ろ、話さないで、口閉じててね」
とだけ言って、私を不思議な世界へ連れてった
え?と思った時には、もう家が目の前
涙は引いていた