第10章 愛という名の呪い(五条悟)
香澄side
まぁ先に行ってても大丈夫だろう、と1人で歩き進めていく
「ちょっと〜、僕のこと置いてくなんてひどいじゃん」
「きゃっ!!」
いつのまにか隣を歩いていた悟に驚く
「ちょっと、びっくりするじゃん
あの子たちはもういいの?」
チラ、と後ろを振り返ると悟のことをいまだに見つめ、私のことを睨む女の子たち
(う〜こわ)
少し哀れに思いながら、私には何もとばっちりが来ませんように、と心の中で祈る
「僕、香澄以外の女なんてキョーミないし〜」
謎の鼻歌を歌いながら、私に寄り添ってくる
「やめて、近づかないで、周りの目が怖い」
一定の距離を保ち、彼を睨む
「香澄ちゃん、そんな見つめないで♡」
いやん、と自分の体を自分で抱きしめている
「見つめてないから」
ポジティブな彼に対し、少し呆れを感じながら歩き続け、私の家に着く
「おっじゃまっしまーす」
(いやもう、それ部屋の中に入ってソファに座ってから言うことじゃないのよ)
心の中で彼に突っ込みながら、キッチンの冷蔵庫を開け、食材を確認する
(んー、、ほんとに何もないな、、オムライスくらいなら、)
「さとる〜〜オムライスでいい?」
ソファに座ってテレビをつける悟に声をかける
「え、僕オムライス大好きだよ」
わーい、と子供のように喜ぶ悟
(そんなに喜ぶもんかな、、)
誰かのためにご飯を作ることが久しぶりすぎて、なぜかいつもより少しだけ気合が入る
悟とは、つい最近よく会うようになった
『ねえねえ、きみ、呪いついてるよ??』
黒い布を目に巻いて、いきなり声をかけてきたその人
私は、警戒心丸出しだったが、近くにいた伊地知さんという方に解説され、何事もなく除霊してもらうことができた
その日を境にちょくちょく私に会いにくる悟
しまいには私のことが好きだとか言い出す始末
悟はモテるし、正直布を取ったときの目の綺麗さには驚いたし、きっといろんな女の子に好きとか言ってるんだろう、、
(わかってはいるんだけど、、)
これまでの言葉や、優しさに溢れる行動が私だけに向けられたら、そう思ってしまうこともあった
(私は彼のことを好きにはならない、だってきっと辛くなるから)