第9章 これがいわゆる運命(?)(影山飛雄)
香澄side
溢れる涙に気づかれないよう、顔を彼の胸に押し付け、抱き締める力を強める
「香澄、、?」
体を離そうとする飛雄に抱きついて離れないでいると
「おい、、さすがに、周りに見られて恥ずかしいぞ、、」
その言葉を聞いた瞬間、今自分がどこにいるのかを思い出し、離れる
周りを見渡すと、街の人がニコニコとしながら私たちのことを見ている
「や、やだ、!こんなこと、、!」
ボワっと体が熱くなるのを感じ、手で顔を覆って下を向く
「〜〜っ、、おい、もういくぞ、ホテルどこだよ」
飛雄も空気感に耐えられなかったのか、顔のところにあった手を掴み、歩き出す
「こ、ここ!ここ、曲がらないと、!!」
「、あ!?こっちか!」
「ち、ちが!相変わらず方向音痴なの、!?」
「うるせぇ!」
昔のようなやりとりに、耐えきれず、ぷっ、とふきだす私
「なんだよ、、」
まだ顔が赤い飛雄が、私を睨んで言う
「ふふ、ううん、なんでもない!」
そんな姿も愛しくて、繋がれた手をぎゅっと握る
しばらく私たちを幸せな沈黙が包んで、この瞬間を噛み締めていると
「おい、、今日、、おまえんとこ泊まりてぇんだけど、、」
と甘々な飛雄が恥ずかしそうに私に言ってくる
きゅーん、、
今までよりも感じるときめきに、さらに手をぎゅっと握って
「もちろん!」
と返事をする
飛雄は嬉しそうに、「、おし!」と小さくガッツポーズをしていた
・・・
しばらくして、ホテルにチェックインし、部屋に入る
「思い出話をしよう」という私の提案から、何時間も離れていた時の話を聞く
聞けば聞くほど、日向くんや他の仲間たちに感謝が募る
「ほんっとに、、いい人ばっかに会えてよかったね、、飛雄」
「、、おう、、」
「私も、、烏野行けばよかった、、」
「なんで香澄、白鳥沢行ったんだよ」
「え、、、」
「ん?」
不思議そうに私を見てくる飛雄
(飛雄が行くと思ったからなんて、、言えるわけない、!!)
ボッ、と顔が赤くなるのを感じ、
「い、言わない、!ナイショ!」
と首を振って、言うと、その途端に飛雄がムッ、と不機嫌になってこちらへ手を伸ばす
「え、?、」