第9章 これがいわゆる運命(?)(影山飛雄)
香澄side
(やっぱり、ひっろいな〜!)
体育館のロビーの広さに驚く
及川さんの時も牛島さんの時も思ったけど、世界で活躍するって本当にすごいことなんだな、と改めて感じ、カメラをぎゅっと握りしめる
「菊川さん、緊張してたりします?」
私の様子を見ていた黒尾さんは、飛雄に会うことに対して緊張していると勘違いして、ニヤニヤと私を見ている
「いえ、いや、まあ緊張もしてますけど、、
それよりも、、あの時戦ってたみんながこんなにもすごくなるなんて思ってもみなかったから、なんか感無量です、」
しんみりとする私を見て黒尾さんは
「そうだよね〜、あの時から俺らの周りで本当に世界を意識してたのって一握りだろうなぁ〜
ま、僕も幼馴染がまさか動画配信するなんて思ってもなかったし、、」
「え、?」
「いや、なんでもない
そろそろ時間だ!行こうか、!」
そう言って再び歩き出す黒尾さん
それについていく私
すると、前から何人かが歩いてこちらに向かってきている
その中に頭をわしゃわしゃされる飛雄がいた
(、っ、!)
彼を見た瞬間、色々な感情が自分の中で一気に暴れ出して、思わず私は泣きそうになった
下を向いて拳に力を入れ、グッと堪える
「香澄、、?何でお前、ここに、、」
「え、、??」
私の名前が呼ばれたことに驚き、泣きそうなのが一気に引いて顔を上げる
「いや、だからなんで、お前ここにいんだよ」
すごく不思議そうな顔で私を見る彼
「あ、えっと、、仕事で、!」
それを言うと同時に、やっと出番か、と顔を出す黒尾さん
「やあやあ、烏野一年コンビの片割れくん
僕のこと忘れないでもらっていいかい、??」
「あ、どーも、黒尾さん、てか、忘れてないっす」
「いやいやいや、もう完全に菊川さんのことしか見えてなかったでしょ、!」
「え、いや、、まぁ、、でももう気づきました」
少し顔を赤らめ、こちらをチラッと見たあと、すぐにキリッと答える
「ふーん、、ま、菊川さんがあと一押ししたらいけるんじゃないでしょうか」
私の方を見てニヤリと言う黒尾さん
「な、!何の話ですか!」
しばらくニヤニヤしたあと、飛雄の方に向き直り、「、でね、」と続きを始める