第8章 新しい幸せ(岩泉一)
岩泉side
「もう全部、、はじめの好きにしたらいいべ、、
私はもう知らない、」
涙声でそう言って、走っていった香澄
初めてみた彼女の姿に、戸惑いを隠しきれず、動揺して追いかけることができなかった
しばらくして、立ち尽くす俺のところへ及川が戻ってきた
「岩ちゃん、、香澄ちゃん、本当に愛想尽かしちゃうよ」
いつもはふざける及川だが、今日に限ってはとても真剣な様子で話している
「お前には関係ないべ」
「もう意味のわからない恥ずかしいって意地で、香澄ちゃんのこと傷つけるのやめなよ」
「だからお前には、!、、」
あまりにも真剣な目で、思わず負けてしまう
「岩ちゃん、ずっと黙ってたけど、、
俺さ、香澄ちゃんのこと好きなんだよね」
「、は、?」
相棒の口から出た言葉に、驚きと疑いが隠せない
「疑ってるでしょ、でも本気だから俺」
「お、おい、、」
「岩ちゃんなら俺の好きな子譲ってもいいかなって思ってたけど、岩ちゃんがそんな感じなら俺がもらいにいく
容赦しないよ、?」
覚悟しててね、といつもの及川でいうと、いこいこー、といって元の女子3人のところへ戻っていく
衝撃的なことが多すぎでついていかない俺
でも一つだけ確かなことは、
(香澄のこと、ちゃんとしなあかんぞ、)
そこで俺は、携帯を取り出して彼女に連絡する
『話したいことがある』
でも、彼女から連絡が返ってくることはなかった