第8章 新しい幸せ(岩泉一)
岩泉side
「じゃ、はじめ、またね」
そういって香澄は、俺の返事を聞くことなく、キャリーケースを引いて自分のクラスの集合場所に向かっていった
「なんだ、あいつ」
歩きながら、そうつぶやくと
「岩ちゃん!香澄ちゃん、怒ってる!
早く謝らないとだめだよ!」
と及川が隣で、慌てる様子で騒いでいる
「クソ川うるさい」
周りにチラホラと同じ学校のやつらが歩いているのを気にしながら、言うと
「せっかく香澄ちゃん、可愛くメイクして岩ちゃんに見せにきたのに、あの態度はないでしょ、、」
俺のことを哀れな目で見てくる及川
「おい、もう香澄のこと話すな、みんなにバレるだろが」
集合場所がもうそこまで来ているのにも関わらず、まだ香澄の話をする及川に言う
「はいはい、なーんでバラしたくないのかな〜
おいかーさん、好きな子のことはなんでもみんなに話したくなっちゃうのに、岩ちゃんって変わってるよね〜」
「だまれ、そんなんだからすぐ振られるんだよ」
と睨むと、
「振られてないもんねー!
岩ちゃんなんか、香澄ちゃんに愛想尽かされて振られたらいいんだ!」
及川は、及川さんしーらない、べーっ!として、ガラガラとキャリーケースを引きながら、俺らのクラスの集合場所に走って向かっていった
(かわいいなんか、、いえるわけねぇべや、、)
先ほど、自分に近づいてきた彼女のことを思い出して、少し顔が熱くなるのを感じる
(3日間も我慢できるのか、、)
と昨日、会えなかったことをあり、もうすでに彼女への愛しさを抱えながら、集合場所に向かった