第7章 守りたい人(宮治)
香澄side
とても幸せな旅行が終わって、今日からまた学校に向かう
昨日、ありがとうって連絡をとったっきり、治からの連絡はない
(どうしたんやろ、?)
不思議に感じつつも、授業を受けて、放課後になる
携帯を確認しても、やっぱり治からの連絡はない
(体育館、。行ってみよ、)
少しイヤな予感を感じつつも、そんなわけ、と考えを振り払い、彼がいるはずの体育館へと向かう
いつも通りいるファンの子たちを見つけ、その先を見ると治の姿
「、え、?」
いつもはファンの子たちとなんか話さない治が、とても楽しそうに話している
「お、さむ、?」
そばに寄っていき、名前を呼ぶと
「あ、ちょっとみんなごめんな〜、通らせて」
と笑顔を振り撒き、こちらへとやってくる
「治、っ、!え、?」
名前を呼んで、その後聞こえた言葉に耳を疑った
「やから、もう好きやないから別れて」
目の前が真っ暗になったような感覚に陥る
(、い、いま、、なんて、?)
昨日の朝までのあの時間は、夢だったのかと思うくらい、冷たい彼の様子に、体も思考も動かなくなる
「もうヤれたし、好きやないねん」
追い討ちをかける、その言葉に、感じるよりも、声を出すよりも先に出たのは
パチン、!
手だった
「、った、、」
少し赤くなった頰を抑え、冷たい目でこちらをみてくる
「さい、てい、!」
その場の空気にも耐えきれず、走るように逃げた
そのあとの高校生活は、治と一切の関わりもなく、大学受験も無事終えて、卒業した
(もう二度と、、好きになんかならない、、)
そんな思いを抱いて、私は大人になっていった