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いろいろ詰め合わせ(短編)

第7章 守りたい人(宮治)


治side



部活がオフの日は、いつだって香澄を真っ先に迎えに行って一緒に帰る

しかし、今日は少しだけ違う




(俺、こういうの我慢できひんのやな、、
香澄のためなら、なんだってしたんねん)




カタ、と扉を開けたのは、香澄がいるクラスの二つ前の教室


ぐるりと教室内を見渡すと、半分くらいの人数の中に、いつもの取り巻きを見つける



「治くんっ!」


目が合うだけで、猫なで声で俺の名前を呼ぶその女


(、、オエ、、、)



心の中で気持ち悪さを殺し




「お前、ちょっとええか」



怒りでどうにかなりそうなのを抑えて、低い声でそいつを呼ぶ



そのとたんにその女の横にいた、侑の追っかけが「きゃー」と言って、その女の背中を押す



(そういうんじゃ全くないねんけど、)



さらに湧き出る怒りと気持ち悪さを抑えて、教室を出る



「治くん、どうしたん?」


こて、と首をかしげて、ぶりっこをするそいつ



(かわいないで、自分)




「どうもこうもないやろ、俺の大事な彼女になにしてくれてんねん」


「え、?」



思わむ言葉に、激しく動揺する様子を見せる



「もう一人にも言えや、次なんかあったらただじゃおかんから」




そんだけやから、そう冷たく言って香澄のクラスへと向かい始める

すると、がっ、といきなり腕をつかまれ、



「待って、、!わたし、あの子よりずっと治くんのこと好きやったし、!
1回だけでもええから、!じゃないとわたし、あの子に何するかわからへんよ、!!」



「は、?」


そいつから放たれた言葉に、頭の処理が追い付かずかたまってしまう




「治、、?」



突然聞こえた彼女の声に振り返ると、超驚きの表情でこちらを見ている


ハッ、とフリーズしていた思考を、再び動かし、


「自分、かなりやばいで
こんなんで、揺らぐわけないやろ」


と吐き捨てると同時に、腕を振り払い、香澄の元へ行く



「香澄、行こ」


彼女の手を繋ぎ、1度も振り返ることなく、いつも通りいちゃつきながら帰った



(これで、もう大丈夫やろ、)



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