第7章 守りたい人(宮治)
香澄side
「香澄、大丈夫か?」
優しく微笑みながら私に手を伸ばす信介
「うん、ありがと、っ、」
ズキッと、手首が痛み、一瞬顔が歪んだのを信介は見逃さなかった
「手、痛むんやろ、保健室行こう」
手をつかんだまま、保健室に向かおうとする信介
「大丈夫だよ!こんなんすぐ治るって、!」
「あかん、一応見てもらい」
と止まることなく、保健室に連れてこられた
幸い、軽いねん挫ということで、湿布とテーピングをしてもらって、遅れて教室に入り、残りの授業を受けた
・・・
放課後
受験勉強をしながら、治の部活が終わるのを待つ
(そろそろかな、?)
と思い、教科書を閉じて、ペンケースにシャーペンを戻そうとすると
♪~
と通知が鳴ったので確認すると
『終わったで~、教室までお迎え行くからな』
と治からのメッセージ
『待ってるね』
と送って、帰る準備をする
しばらくするとパタパタと治の歩く音が聞こえ、教室を出る
「香澄~お待たせ~、てか、うでなに?」
眉間にしわを寄せ、いやそうな顔をする治
「いや、今日お昼休みの後、階段のところで転んじゃって、、」
ドジしちゃった、と心配をかけさせないように笑うと
「ほんと?」
と真剣な顔で聞き返され、少しうろたえる、がそれすらもバレないように
「ほんと!!」
と笑顔で返し、何とか納得してもらう
「ならいいけど、、、まだ痛むん、?」
と心配そうに手をつかみ、テーピングされた部分を見つめる
「ううん、平気、もうほとんどいたくないねん」
と言って、玄関に向かう
そのままいつも通り、少しイチャイチャしながら帰り道を楽しく過ごした
「じゃ、また明日な」
「うん、明日ね」
ちゅ、と軽くキスをして、私が家に入るまで手を振りながらこっちを見る治
ばたん、と家のドアを閉め、「ただいま~」と家族に言うと「おかえり~」と返ってきた
(旅行も決まったし、楽しみ、、!治がいれば、あの子たちの嫌味も耐えられる!)
来週末に控える記念日旅行に淡い期待をしながら、お風呂に入った