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訳アリ主と恋スル執事たち【あくねこ短編集】

第29章 幸音のオルゴール【All characters 別邸2階✉️


「ほらほら、ふたりとも……主様が困っているよ」

ベレンの声に「大丈夫だよ」と慌てて手を振る。


「楽しいから、私に遠慮しないで。いつもみたいにしてて」


「お前は優しすぎるのだ」

シロは唇ではそう言ったが、彼女の言葉に何処かほっと瞳を解いていた。

ベレンはヴァリスに手渡したグラスに、そっとノンアルコールシャンパンを注いでいく。



チン、とベレンが手にしたグラスに、自分のグラスを軽く打ち付ける。

口にしたノンアルコールシャンパンはとろりとしていて、爽やかな果実の香りが鼻腔を通り抜けた。



「主様……これを。俺達三人からだよ」

そう言ってベレンが、丁寧にラッピングされた箱を差し出してくる。

ヴァリスは微笑んで箱を受け取った。



「ありがとう」


「……開けてみて」

促されるままに箱にかけられていたリボンを解き、箱を開くと。



箱の中身は銀細工のオルゴールだった。



長方形の箱の造りにドーム型の蓋が付いており、

蓋の縁と箱部分の四辺にはすべて、金色の装飾縁が施されている。


箱部分の全体には無数の蝶が浮き彫りにされ、

蓋の上部には星に見立てた小さなピンクトルマリンがいくつも埋め込まれていた。
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