第6章 初めての上陸
睡魔に負けたは、ローがシーツに寝かせた頃には熟睡していて、寝息を立てていた。
「無防備な奴。」
その様子をローが見下ろしながら、言葉を溢す。
本当に起きないのかと、彼女に顔を近付けるが起きる気配はない。
島中を歩き回り、疲れたのだろう。
まじまじとの顔を見つめているとふと、彼女のぷっくりとした唇が目に入る。
触れずとも分かるほど柔らかそうなその唇へ無意識に己の唇が近付き距離が縮まっていく。
あとほんの少しで重なるというところで、ローは正気に帰った。
(危ねぇ。何してんだ俺。これじゃあ、ただの変態じゃねぇか。)
初めて彼女に出会った時から、何故か彼女のことばかりが気になる。今まで他人の事をそこまで気にした事があっただろうか。
最初は揶揄ってやったこともあるけど、今はに振り向いて欲しくて、何かしらアクションを起こしている。
それなのに、は他の女の様にベタベタとはして来ない。
彼女と会うまでは、女に困る事など無かった。 気のある素振りを少しでも見せれば簡単に堕ちたのに。
確かに彼女は男慣れはしていないのだろうけれど、自分の事は船長として一線は引いているような気がした。
そんな彼女を手に入れたくて堪らない。欲しいものは手に入れる。それが海賊の性だ。
密かに彼女を狙っているなんて露とも知らず、無防備に寝こけているに溜息が漏れる。
「その姿。俺以外に見せんじゃねぇぞ。」
小さく呟くと、彼女に布団を被せ、自らも湯浴みを済ますと、当然の如く、彼女の隣で眠りについた。