第5章 鍛錬
勝ったと、最後の一突きを振ったと同時にはしゃがみ込み、足を180度ペンギンの刀を持っている腕に向けて振り上げる。その瞬間、ペンギンの手から刀は離され宙高く舞い上がり、振り上げた足をペンギンに振り落とすとそのままペンギンは後ろに倒れていく。は馬乗りの体勢になり、ペンギンの喉仏に刀を突き立てるフリをした。
「「「「うわぁああ!!!が勝ったぁああ!!」」」」
その瞬間、甲板が大歓声に包まれる。ペンギンに勝てた喜びに口角を上げた。
『わーい!私の勝ち。思い切り蹴ってごめんね。痛くない?』
「………あ、嗚呼。の勝ちだな。」
まさかに一本取られるとは思っておらず、呆然としていたペンギンから降りると、彼の肩と手首を優しく撫でる。
それと同時に、ペンギンの鼻から血がたらりと垂れる。
『え!?嘘、ごめん!早く血止めなきゃ。顔は避けたつもりだったんだけど。誰か詰め物持ってきて!』
鼻血を出すペンギンにまさか鼻まで掠ってしまったかと慌ててペンギンの鼻を指で摘む。幸い白いツナギは汚れなかった。
誰もがの蹴りで鼻血が出たかと思っていたが、ペンギンだけは違った。
(が足を蹴り上げた時にパンツが見えたからなんて、絶対言えねぇ。言ったら確実に船長にバラされる。)
この事はペンギン一人の秘密にしておいた。