第10章 使命感
杏「俺は君の事を一番に理解していたい。偽ったり繕ったりしないでくれると嬉しい。」
それを聞いたりんは何となく藤川の事を思い出した。
そして、藤川より一つでも多く杏寿郎に自身の事を知ってもらいたいと思った。
「…ご実家にお伺いした時に話した通り、両親に可愛がられていた時期がありました。さっきはその時に行ったなと思い出して…。」
りんは視線を落としながらそう言うと、おそるおそる杏寿郎の顔を見た。
杏寿郎は静かな表情を浮かべていた。
そして、りんと目が合うと少し微笑む。
杏「そうか。教えてくれてありがとう。」
杏寿郎はただそれだけ言い、再び食事を始めた。