第3章 ケガの向こう側【幸村】
ドキドキが止まらないまま帰り夜本当に電話がかかってきた。
『もしもし?いきなりだけど明日会えない?』
「ん?うんとー。うん!大丈夫だよ!」
『じゃ明日近くの駅まで迎えに行くよ。またね』
電話短っ。
用件だけ言って終わっちゃった。
部活で疲れてるもんね。明日に備えて寝よ寝よ。
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「あ!幸村君!」
『ごめんお待たせ。行きたいカフェがあるんだ。そこでもいい?』
もちろん断る理由もないので一緒に歩き出した。
自然と手を引かれ歩く。
なんか懐かしい気分……。
大きくて優しく包み込んでくれるような手。
うーん?
『どうかした?』
なんでもないよ。と言いカフェについた。
それからは、何が好きだとか、あの時あーだったとか、受験どうするとか色んな話をした。
『まだ受けるとこ決めてないの?』
「うん。なんかココって決める要素が無いというか…」
『俺と同じ学校にしなよ。』
「立海大付属!?相当勉強しないとダメだよぉ」
『俺も教えるし、一緒の学校ならずっと一緒にいれるよ?』
「たしかにそうだね…。うん!そうするよ!勉強頑張る!」
『でも俺教えるのはスパルタだから頑張ってね?』
「…えっ…?」
一瞬あの時のオーラを感じ取った。
「幸村君ってたまに怖いオーラ出さない?」
『え?そうかな…。そんな事ないよ?』
いや出てる…出てるよ?
「…うん?」
『まぁそのうちね。ゆっくり俺の事知っていってよ。』
笑顔で言ったその言葉の意味を考えながら、もう無くなりそうなアイスティーを飲んだ。
なんかやばい人と付き合ったかなぁ…?
この人が魔王って裏で呼ばれてるのを知るのは次の春を迎えた頃である。
END