• テキストサイズ

(名探偵コナン】生まれ変わったら名探偵の姉でした(改)

第37章 漆黒の葬列 後編



どうやら新一は未だにホテル内に残っているらしく、陣平くんからあの子を解放したという連絡もさっき受け取ったらしいとの事。それから死亡偽装に取り掛かり始めた哀ちゃんはと言うと、無事(?)にコナン達の視界から外れた所で益山憲三に拉致され、酒蔵に軟禁される演出に成功していた。更にホテルの偲ぶ会会場の方では、風見さんのいる公安課が捜査に出向き、爆弾騒ぎを起こす予定もある。なので新一が戻ってきたら私と博士があの子を足止めしなくてはならない。



椎奈「……あ、新一来た」



待つこと数分、顔面蒼白な新一がよろよろ力無い足取りで博士の車に帰って来た。けれど新一は目を向けた助手席に私がいるのを見つけた途端に肩を震わせ、ビートルの前で足を止めるほど強張った顔で狼狽えながら視線を彷徨わせ、私達と直に対面するのを躊躇している。流石に今日という今日は短慮が過ぎると実感したのだろう、出来ればそれをやらかす前に気づいてほしかったんだけど……。

とにかく車外で立ち竦んだ新一の落ち込み具合が可哀想だったのだけど、数秒後には意を決したのか大人しくビートルの後部座席のドアを開ける。開けて無人の後部座席を見ると、哀ちゃんがいないのを意外そうに乗り込んだ。



コナン「あの、姉さん……灰原は?」

椎奈「ああ、哀ちゃんならまだよ」

コナン「まだってアイツ、オレより先に車に戻ったんだぞ?ここには組織の幹部がいるってのに何やってんだ……」

椎奈「だから、じゃないかしら?」

コナン「どういう事だよ」

椎奈「志保ちゃんは会場にいた時、とっても顔色が悪くて、怯えて、苦しそうだった……。18年も組織に軟禁されて、脅迫されて育ったって聞いたもの、他人じゃ想像出来ないぐらい精神的に参ってる筈よ……

コナン「灰原……」

椎奈「だけどここで自分が作った薬が使われる疑惑がある以上、彼女の方は罪悪感でずっと一緒じゃ気まずいんだと思う……。こっちが気にしてなくても、ね」

コナン「!!」


そう。原作初期の頃に志保ちゃんが新一と一緒に行動したのは、工藤新一を助けなければ、という病んだ精神状態での自暴自棄な責任感。勿論、こちらの世界では警察学校組の救助、姉の生存のおかげで自暴自棄にこそなっていないが、それでも新一に向ける罪悪感は途方もない
/ 351ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp