第4章 手を引かれる
温かくて、優しくて、溶けるみたいに私と七海君の唇が重なる。
私は驚いて目を見開くと、目をつぶっていた七海君が薄らと瞳を開けそんな私に優しく微笑み、もう一度優しくキスを落としてから唇をゆっくりと離した。
「…な…なみ…くん、どうして…」
放心状態の私に、七海君はさらりと優しく髪に触れる。
「いきなりすみません。あなたの嫌がる事はしないと言った側から」
申し訳なさそうに少し眉を垂れ下げる彼は、困ったように私を見下ろした後優しく呟いた。
「好きです、あなたの事が。ひと目見た時から…あなたを好きになるとそう思いました」
「……え」
七海君のその言葉に、自分が初めて七海君を見た時の事を思い出す。
“あぁ、きっと私はこの人に恋をする”
確かに私もそう思った。
まさか七海君も同じだったなんて…
「まだ出会ったばかりなのに、何言ってるんだと思うかもしれませんが。一目惚れなんです…柄にも無く」
薄らと染まった彼の頬が、それを真実だと伝えているようで。放心状態だった私の感情を激しく揺さぶる。