第1章 鬼灯の右腕
その時、閻魔殿の扉を慌てた様子で叩き獄卒が中に入ってきた。
「どうしたのですか?そんなに慌てて。また何か問題でも。」
「大変です!鬼灯様!椿様!!桃太郎というやつが地獄にやってきて、道場破りのようなものを…まぁ、兎に角来て下さい!!」
「やれやれ、一つ問題が片付いたかと思えば。椿さんは此処で待っておきますか?」
『いいえ、鬼灯様。桃太郎とやらが気になります。というか、どんな人か見てみたいです!着いていきます!それに桃太郎といえば、可愛い犬や猿や雉がいるかもしれませんよね…!」
椿は無類の動物好きだった。鬼灯も勿論動物が好きだが、彼女はそれ以上であった。現世に視察に行く度必ずと言って良いほど動物園へ行き、動物達とよく戯れていた。
「完全に動物目当てですね。椿さんがそれ程見たいというなら一緒に行きましょう。案内してください。」
鬼灯一行達は、問題の桃太郎の元へ向かうのであった。