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鬼灯様の許嫁【鬼灯の冷徹】

第3章 鬼灯との出会い



(一体何が起こったの…?それにこの人は…。いや鬼?)


声のする方を振り返るとそこには黒い着物を着た角の生えた男が不機嫌そうな顔をして立っていた。



金棒の突き刺さった鬼は一溜りも無かったのかその場にバサリと崩れ落ちて気絶してしまったらしい。


黒髪の鬼は金棒を抜き取ると、此方を振り返ると眉を顰めた侭此方へと近づいてきた。

今のうちに逃げないとと思ったが、恐怖で足がすくみ、思うように動かない。

遂に壁際まで追いやられてしまい、恐怖心で怯え切った瞳でその鬼を見上げると、顎に手を掛けられるとジロジロと此方を見つめ始めた。


(次はこの鬼に喰われてしまうのかな…)

そう思い、目をきゅっと瞑っているとその鬼に声を掛けられる。


「貴方……。あの鬼と面倒な契約をしましたね。しかも、その条件を既に満たした後。手遅れですね。」

淡々と告げられる言葉はあまり頭に入ってこないが、とりあえず自分がもう終わりな事を察した。


「ですが……一つだけこの契約を破棄する方法があります。それは貴方が鬼となり、私と婚姻関係を結ぶのです。簡単な事でしょう?」


やっぱり目の前の鬼の言う言葉がいまいち頭に入って来ず、唖然とする。

『へ…?それは…どういう事ですか?』

「そのままです。貴方があの鬼と結んだ契約は、要するに貴方とあの鬼を結ばせる為の契約です。ならば、その契約と同等かそれ以上の契約で契り直すしかこの契約は破棄できません。まぁ、貴方がそれでもあの鬼と添い遂げたいのであれば、止めませんが…。」



(だから、目の前の男と結婚しろということなのか。単に相手が変わっただけな気がするが、自分は捨てられた身であるし、あの鬼よりも目の前にいる彼の方が誠実そうな気がする。)

心は決まった。


『分かりました。私、鬼になって貴方と結婚します。』

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