第6章 デートの練習
再び口を尖らせる。直ぐにそんないい語呂合わせが出てくるわけない。
「僕はこっちで先生じゃないから、先生はいらないんじゃない」って人任せに言うけど、候補出すだけでも結構難しい。じゃあ、ってもう一度五条の音からヒントを得る。
「五条、五条……えー、小僧さん」
「なし!」
「和尚さん」
「なーし」
「訴訟さん、護送さん、路上さん、模倣犯」
「ぜーんぶなし!! っていうか最後のは何? 僕のイメージ悪すぎでしょ」
「そんなに熱くなっちゃって。私にキュンと来た?」
「なんでだよ」
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こんな事言いあってる間にアパートに着いた。ポケットに突っ込んでた手を取り出して鍵を開ける。
冷えたままの手を見てふと思う。お団子屋のお婆ちゃんは私達を仲良し夫婦だと思ったみたいだけど、こんな寒い日に手を繋いで帰らない仲良しはいないよねって。
当たり前だけど、私と五条先生は手を繋いだことはない。