第2章 使命
「 それはともかく、報告な 」
「 えー、めんど〜〜 」
「 ほら蘭、我慢して聞いとけ。 ココ、うちも聞かなきゃいけねェってことはかなりデケェ仕事だろ? 」
「 ……ドンクルハイト、っつー組織を聞いたことがあるか? 」
「 ドンクルハイト? 」
「 あぁ。 Dunkelheit、通称 “闇” 。 デケェとこだ 」
その名を聞いた瞬間、身体が震えた。
誰かに見られてねェよな大丈夫だよなバレてねェよな絶対大丈夫だよな大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫、
「 で? その “闇” っつーとこが何なんだよ 」
「 …梵天に手を出してきてる訳ではねェ。 管轄区域に立ち入って荒らしたりも一切してねェ。 ……だからこそ、気になった 」
「 ハ?? 害がねェなら放っときゃいいじゃねェか 」
「 あそこは全く手段を選ばねぇんだよ。 ガキを殺人兵、 」
「 つまりユダが居るっつーことだろ? 」
「 ……夏? 」
声は震えてねェだろうか。
いつも通り普通に笑えているだろうか。
ココの言葉を遮って浅くなる呼吸を必死に抑え、平静を装う。
「 ならうちの仕事じゃねェ? 」
「 待てよ夏、何でユダが居るっつーことに繋がんだよ 」
「 ……見境なく襲ってくる組織が梵天をターゲットに入れてねぇなら襲えねぇ理由が何かしらあるんだろ 」
「 ………マイキー、 」
前に出たマイキーがうちを隠して庇うかの様に説明を繋げてくれる。
震える拳はマイキーで隠れて皆には見えねェ。
「 とにかく、それだけデケェ話なら望月と明石が来てからの方が良い。 一先ず解散だ 」
「 それもそうか。 了解 」
「 竜胆、キャバの管轄行かね〜〜? 最近良いの入ったらしいし見に行こ〜ぜ♡♡ 」
「 風花より良いのは存在しねぇけどな。いいぜ 」
「 三途はちょっとこっち来い。 お前また車壊しただろ 」
「 知らねェし!?!?!? 」
話題が終わって、いつも通り、いつも通りの会話に戻る。
戻ったのに、うちの頭の中はさっきのことで埋め尽くされていた。