第3章 運命の歯車
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すっかり日が落ち、隼人は任務の為「まゆを頼みます」と日柱邸を出た
日縁「カァー!伝令伝令、南南東ニ向カエ、富士見村デ未婚ノ女ガ毎晩消エル。まゆモ連レテ行ケ」
縁壱「わかった。急ぐ故、私が抱き抱えて行こう」
まゆ「はい!(任務だぁぁぁぁぁ!頑張らないと!)」
縁壱はまゆを姫抱きで、南南東にある富士見村に向かった。村の入り口付近に着くと二人は辺りを見回すが、村は鬼を警戒しているのか、人一人歩いていない
縁壱「どうやら鬼を警戒しているみたいだな」
まゆ「ですね…縁壱お兄様、私囮になります。未婚の女なんで条件は満たしてますから」
まゆは瞳をギラギラさせて言ったが、縁壱はまゆに囮などさせたくはない
縁壱「しかし…」
まゆ「お願いだから!」
今回の相手は相当な数を食らっているだろうと見ている。一筋縄でいかない可能性の方が高い。まゆの実力は確かなので縁壱も悩むところだった
縁壱「まゆ、お前が囮になれば私は隠れて見張る事になる。いきなり襲いかかられ、万が一私が間に合わなかった時に対応できるか?」
まゆ「殺るしかないです!縁壱お兄様、どうか私を信じてください。そして日の呼吸を実戦で使ってみたい…ダメですか?」
縁壱はまゆの言葉に負け、囮と実戦を許可した。勿論、危なそうなら直ぐに助けられる様、なるべく気配を消してまゆの近くに居るつもりだ
縁壱「死ぬなよ(まゆなら大丈夫だ。信じよう、私の継子を…)」
まゆ「ありがとうございます。では言って参ります」
まゆはその村に入りゆっくりと歩き始めると、縁壱は物陰に隠れながら後を追う。暫く歩くと雑木林の奥に神社らしきものが見えてくる。薄っすらと鬼の気配を感じたまゆは立ち止まり、神社を見据えた
まゆ「(この辺から微かに鬼の気配…)」
ある一点を見ると、まゆの目に神社の鳥居に木の板掛かっているのが見えた。今日は満月の晩、月明かりに照らされ木の板に書いてある文字が見える
その文字は…
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