第3章 運命の歯車
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縁壱「来い」
まゆ「はい!(さっきのは格好悪すぎたから今度はしっかりやらなきゃ)」
バシッ バシッ
まゆは先程の失態を忘れたかの様な動きを見せ、縁壱を感心させた。打ち合いの間、とは言っても縁壱は捌くだけなのだがまゆは一分の隙も見せないのだ
縁壱「(ほぉ…女子故か身体の関節が柔らかい。しかしそれだけではない…やはり、まゆには何かがある)」
バシンッ
縁壱にはまゆと初めて会った頃から不思議に思っていた事がある。まゆの産まれたての小さな身体の奥底に得体のしれない『力』を感じたのだ。それは禍々しくも神々しい『何か』だった
それは縁壱にも未だ分からず終いである。縁壱は考える事を止め、まゆに休憩を促す声を掛ける
縁壱「疲れただろう。休憩したら私が扱う日の呼吸を教える」
まゆ「はいっ!やったぁ〜楽しみです♪」
「楽しみ」だと言うまゆに口元を緩ませ「そうか」と頭を優しく撫でた
休憩が終わると、縁壱は日の呼吸を壱から拾弍にまで見せ「先ずは壱の円舞からだ」と言い、まゆの耳元で呼吸音を聞かせた
まゆ「はい///日の呼吸・円舞!!」
ブオンという音ともに技が繰り出され打込み台が半分破壊された。威力は当然だが縁壱程は無い。しかし、あっさり出来てしまった事に縁壱は驚いて言葉を失った
まゆ「出来たぁーーー!!縁壱お兄様出来ました!!」
縁壱「あっ、あぁ。良くやった!(もう少し苦戦するかと思ったが…しかし、今の時点でこれ程出来てしまった…早々にまゆを入隊させねばならなくなるやもしれぬな)」
まゆに日の呼吸を継がせられ嬉しいが、早々に自分から手が離れてしまうと思うと複雑な気分になったのだ
縁壱「(手放したくない…)」
その後も次々と日の呼吸を修得していくまゆを、ただ見つめていた
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