第3章 運命の歯車
・
縁壱「まゆ、私に打ち込んで来なさい。捌く以上の事はしないから」
まゆ「はい!(ふぅー、ちょい安心)」
いざ縁壱に対っていくとまゆは実力の差を思い知った。捌くだけでも鮮やかで綺麗で、一瞬見惚れてしまったのだ
バシッ
まゆ「にゃっ!?あぁーーー?」
縁壱「まゆっ」
縁壱の剣技に見惚れ、捌かれた時に身体の体重移動を失敗したのか、縁壱が力加減を間違えたのかは不明だがまゆは『すってんころりん、すっとんとん』と道場の床に転がってしまったのだ
まゆ「にゅ〜…今おむすびの気持ちを知りました…」
縁壱「何の事だかわからぬが大丈夫か?」
縁壱は目を回しているまゆを抱き起こした
まゆ「大丈夫です、申し訳ない…しかし、ネズミが私に『おむすびぃ♡』と言ってるところまでは逝きました」
縁壱「そうか、大事無くて何よりだ(まゆは握り飯が食べたいのか…)」
違うそーじゃない。しかし縁壱は『昼餉は握り飯にしてもらおう』と心に誓った
まゆ「あのっ、縁壱お兄様の剣技に見惚れていまい…ごめんなさい、稽古中なのに」
縁壱「いや、まゆに怪我が無ければ良い。もう一度やるぞ(嬉しいものだな…)」
素直に嬉しかった縁壱は少しだけ心が浮いていた。やはり良くも悪くもまゆによって心が乱されてしまうのだと気が付き『どうしたものか』と額に手を当てた
そんな縁壱の気持ち等いざ知らず、まゆはキョトンとしていた
まゆ「縁壱お兄様、熱でも有るのですか?大変っ!!屈んで下さいね、届かないので!」
縁壱「えっ、いや…あぁ」
慌てふためくまゆは縁壱の両肩を掴みして屈んでもらった
コツン
縁壱の額に自分の額を合わせ、体温を確かめる
まゆ「うーん…縁壱お兄様は元々体温高いからわかりませんが、具合悪いなら言って下さいね!」
縁壱「大丈夫だ。心配かけてすまない(君に口付けをしたらどんな顔をするのだろうか…いけない、何を考えているんだ私は)やるぞ」
縁壱は邪念を振り払い打ち合いを開始する
・