第31章 幼馴染達の何でもない夜と妹
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巌勝「竜……」
竜「あんだよ…如何したんだよ急に。具合でも悪いのかよ」
巌勝さんが俯き加減で竜兄さんの名を呼ぶと、竜兄さんも何となく言いたい事が分かったのか声のトーンを落とした。そして私は縁壱さんの膝の上だ!!
巌勝「怒らぬのか?私が鬼となりまゆを捨て、鬼殺隊を裏切った事を…」
竜「お前は鬼になりたくてなったのか?違うだろうよ。あの時はあれが最善だった。精一杯足掻いた。俺は何に対して怒れば良いんだよ」
巌勝「お前や他の義兄さん達に『今度こそまゆを離しません。幸せにします』と誓ったのにも拘らず二度も私は…」
竜「一度目とは事情が大分違うのに怒れるかよ馬鹿。ただよぉ、そんで嫁さんとたった一人の弟を泣かせてたら世話ねーけどな」
巌勝「…………すまぬ」
そうね、泣いたわ。目を擦り過ぎて痛くなる位までね!
縁壱「私を含めた鬼殺隊の者たちは兄上が裏切った等とは思っておりませぬ。竜など張り合いも無くなり、女性を追いかけるのを止めてしまいましたから」
巌勝「なんだと!?竜がか…」
竜「縁壱ぃー余計な事いってんじゃねーよ。恥ずかしいだろうがっ」
まゆ「まぁ良いじゃない♪随分保ったのよ?三ヶ月は止めてたもの!よっぽど巌勝さんが居なくなったのがショックだったのねー」
本当に竜兄さんの落胆ぶりが凄くて可哀想な位だったわ。まぁ、当事者の私が言うのもなんだけどね…
竜「俺の妹を守りきったのは間違えなく巌勝だしよ。これでもなぁ、一応感謝してんだわ」
巌勝「お前から感謝をされる日が来るとは…」
二人ともに素直過ぎて怖い位だわ。でも偶には良いもんね(笑)取り敢えず私と縁壱さんは静かに見守る事に決めた
竜「まぁ、まゆは身体が死んでも魔族としては生きてたけどな。そん時は知らなかったからよ!知ってたら感謝なんかしてねーよっ」
竜兄さんは顔を赤くしてそっぽを向いてしまった。ほんとツンデレよね。照れてるの丸分かりよ?
巌勝「お前のそう云う不器用な所は昔から嫌いではない。最も女子の事で八つ当たりするのは止めてほしかったが」
竜「イケメンヤローに八つ当たりしねぇで誰にすんだよ!!…俺もキライじゃねぇーよ。お前の性格の悪さがな」
お互いに良ぉーく理解してるらしい(笑)
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