第15章 最初で最後の嘘
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黒死牟「今でも愛していると…」
まゆ「いつか本人に伝えてやりなさいな!ふふっ、またね黒死牟さん…」
混沌の龍は一瞬で消えた
いつか本人に?人間であるまゆは、もう永くは無いだろう。ならばいつかなんて日は来ないではないか…
私は赤い月を見上げ天を仰いで祈る
会えぬとしても、それでも私は祈らずにいられなかった
黒死牟「いつかまた、まゆに逢えますように…」
【SIDE END】
まゆは一度屋敷に帰り、縁壱の遺品を整理と自分の荷物を纏めていた
まゆ「縁壱さんに初めて貰った羽織…これは結婚した時に買ってくれた飾櫛…」
桐の箪笥を開けるとその中には、縁壱から貰った物やまゆが贈った物が沢山入っていた
一つ一つに思い出があり、まゆは感傷に浸り啜り泣いた
何よりもこの屋敷で結婚生活を送り、美月を産んで育てて嫁に出したのだから
まゆ「これ…私と縁壱さんと美月でお揃いの羽織…美月が着られなくなってからは着てなかったなぁ…」
沢山の思い出が詰まったこの屋敷を出て魔界に帰らねばならない。いつまでも泣いているわけにはいかず、荷物整理を急ぐ
まゆ「帰りたくないなぁ…でも行かなきゃね…」
そろそろ迎えがくるだろうと荷物を持って外に出ると、気配を消して待っていたのか既に迎えが来ていた
鬼灯「さぁ、行きますよまゆさん」
まゆ「なんで鬼灯君が来るのよ」
魔界からの迎えが来るかと思いきや意外にも地獄からの迎えだった。鬼灯曰く、まゆに話があるという
まゆ「で、話って何よ」
とりあえず地獄の閻魔庁にやって来たが『一体何なんだ』と訝しんでいる
鬼灯「えぇ…以前ルシファーさん伝いにお話しした通りなんですが、継国縁壱さんがまゆさんに会いたいと…」
まゆ「……ダメなのでしょう?」
鬼灯「まぁ、そうでしょうね。あちらのお子さんの事を考えれば貴女は会うべきではありません。少なくとも今の状況ではですが」
以前話ししたというのは、まゆが魔族に戻った時のルシファーとの話しの中で伝えられた事である
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