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【鬼滅の刃】過去も未来も〜R18〜【継国兄弟】

第15章 最初で最後の嘘






月日は流れ、縁壱は八十歳を過ぎていた。縁壱は何を思ったのか膝に乗せているまゆを一旦降ろし正座で向き合った



縁壱「まゆ、頼みがある…兄上の気配を探ってほしい。私は何時お迎えが来てもおかしくない年齢故、最後に一度会いたい」

まゆ「会ってどうする気なのよ」



一緒になってから六十年弱。縁壱は一度たりとも、そのような事を言った事がない。だからこそまゆは『今になってどうしたのか』と疑問に思うのだった



縁壱「私達は双子として一緒に産まれた…あの兄上の事、鬼で居るのは辛いのではないかと。ならば斬らねばならぬだろう…」

まゆ「本当にそうかしら。巌勝さんは終わりたいとは思ってないかもしれないわよ?」



まゆの言いたい事はわかる。しかし縁壱は、憎き鬼舞辻無惨の部下の鬼でいる位ならばと譲らない



縁壱「うたと子も、お前と兄上の子も鬼舞辻に殺されたのだ。知らぬとはいえ、このまま鬼舞辻側に置いておくのも嫌なのだ…」

まゆ「今更じゃない」



まゆが巌勝を鬼舞辻無惨から離し連れ戻そうとすれば出来るし、自分と同じ存在にしてしまう事も出来る。しかし今迄やらなかったのには、それなりに理由があったのだ



まゆ「鬼舞辻から取り戻すのは簡単よ。今の私ならね…でもね、どんな想いで鬼舞辻側に付いて鬼になったかって考えたら出来なかったのよ…ごめんなさい…」



巌勝はまゆと腹の子を守りたかった故に鬼になるという決断をした。まゆは巌勝の気持ちを踏み躙るような真似はしたくなかったのだ



縁壱「まゆのせいではないし、兄上を思っての事だろう。どうか謝らないでほしい。頼む、兄上を捜してくれ…きっと私にはもう時間が無い」



縁壱は悟っている、自分はもう長くはないと。まゆは知っている、縁壱の寿命は後二日だと…



まゆ「それなら、ゆっくり穏やかに過ごした方が良いわよ。ねっ?縁壱さん…」

縁壱「すまないがそれは出来ない、やり残した事をさせてほしい。まゆお願いだから、頼む!頼むから…」



正直な所、あまり縁壱に無理をして欲しくなかったのだ。遣る瀬無い想いがまゆの中で大きくなっていく



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