第12章 縁壱の娘と素敵な伯父様
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美月が剣術の稽古を始めてから早いもので十年の月日が流れた。流石は縁壱とまゆの子と言うべきだろうか、全集中常中は勿論の事、剣術に関しては十二歳とは思えぬ程強くなっていた
この日、美月は日課になっている走り込みをしていたが生憎天気が崩れてしまい、家に帰る途中の森の大きな木の下で雨宿りしようと走っていた
美月「寒いっ!それに雨は癖毛の敵だよぉ~」
もう直ぐ目当ての場所に着くのだが、その木の下を見ると先客が居た。背が高い癖毛の男性の様だった
美月「すみません、ご一緒して宜しいでしょうか?(背が高い!父さん位あるかも?癖毛に勝手ながら親近感www)」
男は「構わぬ」とだけ言って黙ってしまった。暫くは黙って居られたが、やはり暇で仕方がない美月は男に話しかける
美月「かなり降ってますね~、私走り込みしてて急に降られちゃったもんですから困っちゃいました!お兄さんはお侍さんなんですか?」
男「……昔…侍だった。何故に、女子が走り込みをしておるのだ。必要なかろう?」
その男の顔は俯いていて見えないが、自分の父と背格好がソックリで自分と同じ癖毛と言う事もあり、美月は勝手に親近感を持ったのだ
美月「父と母の影響ですかね~幼い頃から父に剣術を習っていて、その体力作りの為です。私体力ないので!全集中常中っていうのを使ってても父や母には遠く及ばなくて…」
男「全集中常中だと……お前の両親は鬼殺隊か…?」
男は考え込む仕草をみせ、美月は質問に答える
美月「鬼殺隊?うちの両親は仕事してないです。私が産まれる前は知りません。あまり教えてくれませんから…あのっ、お兄さんの名前教えてください!私は美月って言います♪」
男「……私は黒死牟という…」
黒死牟SIDE
私は日の当たらない場所を探し鍛錬をしていた。この場所は数日前に見つけ、縄張りにしていた鬼を処分してまで手に入れた穴場だ
雨か…
身体に水滴がポツリポツリと降って来たと思ったら直ぐに土砂降りになり、私は雨宿りをしようと木の下に入った
当分止まぬだろうと考えていると、人の気配がする
「すみません、ご一緒して宜しいでしょうか?」
「構わぬ…」
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